
「新築と中古、結局どっちが安いの?」
住まい選びで誰もが一度は悩むこの疑問に、30年間のトータルコストで答えを出してみました。
我が家は義家族から築33年の中古RC住宅を譲り受け、
総額1,365万円のリフォームを行いました。
購入費はかかりませんでしたが、リフォーム費用は決して安くありません。
この記事では、
①新築購入
②中古購入+リフォーム
③譲受+リフォーム(我が家のケース)
の3パターンで、30年間にかかる住宅費の総額をシミュレーションします。
これから住まいを選ぶ子育て世帯の方に、判断材料のひとつとして参考にしていただければ嬉しいです。
シミュレーションの前提条件
まず、3パターンの比較条件を揃えます。あくまで目安としてご覧ください。
| 項目 | A. 新築 | B. 中古+リフォーム | C. 譲受+リフォーム |
|---|---|---|---|
| 物件価格(建物のみ・土地代別) | 3,900万円 | 1,500万円 | 0円 |
| リフォーム費 | なし | 500万円 | 1,365万円 |
| 頭金 | 500万円 | 300万円 | — |
| 借入額 | 3,400万円 | 1,700万円 | なし(自己資金) |
| ローン金利 | 1.5%(35年) | 1.5%(35年) | — |
| 築年数(入居時) | 新築 | 築20年 | 築33年 |
※物件価格は建物のみの価格(土地代は含みません)。
新築の建設費は住宅金融支援機構
「2024年度フラット35利用者調査」
の全国平均(約3,900万円)を参考にしています。
※都内と地方では建築費に差があります。
首都圏の坪単価は約83.6万円、
地方(その他地域)は約73.3万円で、
同じ広さでも首都圏は約15%高くなります。
たとえば35坪の場合、
首都圏では約2,900万円、
地方では約2,600万円が目安です。
※中古戸建ての全国平均は約2,573万円です。
(土地代込み)
※金利は2026年4月時点の
変動金利(約1.0%)と固定金利(約2.5%)の中間として1.5%で試算しています。
A. 新築戸建てを購入した場合
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格+頭金 | 3,900万円 |
| 諸費用(登記・仲介手数料等) | 約200万円 |
| ローン利息(3,400万円/1.5%/35年) | 約970万円 |
| 固定資産税(30年分) | 約400万円 |
| 修繕費(30年分) | 約600万円 |
| 火災保険(30年分) | 約150万円 |
| 30年トータル | 約6,220万円 |
新築は購入時の費用が大きく、ローン利息だけで約970万円かかります。
一方で、最初の10〜15年は修繕費が比較的少なく済むのがメリットです。
固定資産税は新築の場合、最初の3年間(長期優良住宅は5年間)は軽減措置があります。
ただし、軽減が終わると税額が上がる点には注意が必要です。
B. 中古戸建てを購入+リフォームした場合
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格+頭金 | 1,500万円 |
| リフォーム費 | 500万円 |
| 諸費用(登記・仲介手数料等) | 約150万円 |
| ローン利息(1,700万円/1.5%/35年) | 約490万円 |
| 固定資産税(30年分) | 約350万円 |
| 修繕費(30年分) | 約800万円 |
| 火災保険(30年分) | 約150万円 |
| 30年トータル | 約3,940万円 |
中古住宅を購入してリフォームする場合、新築より約2,280万円安い結果になりました。
購入費とローン利息が大幅に下がる分、30年トータルでは大きな差がつきます。
ただし、中古は築年数が経っているため、修繕費が新築より多くかかる点は覚えておきましょう。
また、中古住宅のリフォームには補助金制度が使えるケースもあります。
「みらいエコ住宅支援事業」や自治体の助成金を活用すれば、さらにコストを抑えられます。
▶ 関連記事:リフォーム補助金についてはこちらで詳しく解説しています

C. 譲受+リフォームの場合(我が家のケース)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 0円(譲受) |
| リフォーム費(内装+外壁防水) | 1,365万円 |
| 諸費用(登記等) | 約50万円 |
| ローン利息 | 0円(自己資金) |
| 固定資産税(30年分) | 約300万円 |
| 修繕費(30年分) | 約1,000万円 |
| 火災保険(30年分) | 約150万円 |
| 30年トータル | 約2,865万円 |
我が家のケースでは、新築より約3,355万円、中古購入+リフォームより
約1,075万円安い結果になりました。購入費0円が最大のメリットです。
一方で、築33年という古さからリフォーム費が1,365万円と高額になり、
今後の修繕費も新築や中古購入より多く見込んでいます。
「リフォーム費が高い」と聞くとびっくりするかもしれませんが、
購入費がかからない分、トータルでは最もコストが低くなっています。
我が家のリフォームの実情
我が家は都内にある義家族の持ち家(築33年の中古RC住宅)を譲り受け、リフォームを行いました。
ここでは、実際の費用内訳と業者選びについてお伝えします。
内装工事は3階部分のみを先行して実施しました。
1・2階の内装工事は、リフォームローン完済後の来春に
追加工事を予定しています。
すべてを一度に工事せず、資金計画に合わせて段階的に進めるのも、費用を無理なく管理するコツです。
資金の内訳は、
内装工事費の約1,000万円を現金で支払い、
外装工事費と引っ越し費用を合わせた約500万円をリフォームローンで借り入れました。
このリフォームローンは来春に完済予定です。
なお、リフォームローンの金利は住宅ローンより高めです。
住宅ローンの変動金利が0.7〜1.7%程度なのに対し、
リフォームローンは2.5〜4.8%程度が相場です。
借入額をできるだけ抑え、返済期間を短くすることが利息の負担軽減につながります。
業者選びのポイントとして、我が家では内部工事はハウスメーカーに依頼し、
外部工事(外壁塗装など)は外壁塗装専門業者とハウスメーカーの両方から相見積もりを取りました。
結果、専門業者のほうがコストを抑えられたため、外部工事は専門業者と契約しました。
リフォームは工事の種類ごとに得意な業者が異なるため、相見積もりは必ず取ることをおすすめします。
また、我が家はRC(鉄筋コンクリート)造の住宅です。
RC造は木造に比べて耐久性が高い反面、リフォーム工事の費用が割高になる傾向があります。
壁の撤去や配管の変更など、木造なら比較的容易な工事でも、
RC造では専門的な技術と費用がかかる点にはご注意ください。
譲受やリフォームを検討される際は、建物の構造によって費用感が
大きく変わることを覚えておくとよいでしょう。
もし木造住宅を譲り受けていたら?
我が家はRC(鉄筋コンクリート)造ですが、
日本の戸建て住宅の約9割は木造です(林野庁統計)。
「実家や親族の家を譲り受ける」ケースでは、木造住宅のほうが圧倒的に多いでしょう。
木造住宅を譲り受けた場合、費用面でどう変わるのかを参考試算してみました。
| 費用項目 | RC造(我が家) | 木造の場合(参考) |
|---|---|---|
| リフォーム費 | 1,365万円 | 約800〜1,000万円 |
| 耐震補強費 | —(RC造は不要だった) | 約100〜200万円 |
| 固定資産税(30年) | 約300万円 | 約200万円 |
| 修繕費(30年) | 約1,000万円 | 約1,200万円 |
| 火災保険(30年) | 約150万円 | 約200万円 |
木造とRC造の主な違いは以下のとおりです。
リフォーム費は木造のほうが安い。
木造は加工がしやすく、壁の撤去や間取り変更も比較的容易なため、
同じ規模の工事でもRC造より2〜3割安くなる傾向があります。
築30年・30坪の全面リフォームで800〜1,500万円が目安です。
ただし築33年の木造は耐震補強が必要な場合も。
1981年以前に建てられた木造住宅は「旧耐震基準」で、
耐震補強に100〜200万円ほどかかることがあります。
1981年以降の建物でも、経年劣化による補強が推奨されるケースがあります。
修繕費・火災保険は木造のほうが高め。
RC造の法定耐用年数が47年なのに対し、木造は22年です。
木造は外壁・屋根の塗り替え頻度が高く、シロアリ対策も必要なため、
30年間の修繕費はRC造より多くかかります。
また、火災保険料も木造(H構造)のほうがRC造(T構造)より割高です。
固定資産税は木造のほうが安い。
木造は建物の評価額がRC造より低く、経年による減価も早いため、
30年間の固定資産税総額はRC造より抑えられます。
トータルで見ると、木造住宅を譲り受けた場合の30年コストは
約2,300〜2,600万円と試算でき、RC造の我が家(約2,865万円)より
さらに安くなる可能性があります。
実家が木造で空き家になっている方は、リフォームして住むという選択肢を
ぜひ検討してみてください。
【比較表】30年トータルコスト一覧
| 費用項目 | A. 新築 | B. 中古+リフォーム | C. 譲受+リフォーム |
|---|---|---|---|
| 購入費+諸費用 | 4,100万円 | 2,150万円 | 1,415万円 |
| ローン利息 | 970万円 | 490万円 | 0円 |
| 固定資産税(30年) | 400万円 | 350万円 | 300万円 |
| 修繕費(30年) | 600万円 | 800万円 | 1,000万円 |
| 火災保険(30年) | 150万円 | 150万円 | 150万円 |
| 合計 | 約6,220万円 | 約3,940万円 | 約2,865万円 |
| 新築との差額 | — | ▲約2,280万円 | ▲約3,355万円 |
それぞれのメリット・デメリット
A. 新築のメリット・デメリット
メリット
- 設備が全て新しく、当面の修繕費がかからない
- 最新の耐震基準・断熱性能で安心
- 住宅ローン減税の控除額が大きい
デメリット
- 購入費が最も高く、ローン利息の負担が大きい
- 30年トータルで最も高額になりやすい
- 教育費など他の支出に回す余裕が少なくなる
B. 中古購入+リフォームのメリット・デメリット
メリット
- 購入費を大幅に抑えられる
- リフォームで自分好みの住空間にできる
- 補助金制度を活用すればさらにお得
デメリット
- 築年数によっては修繕費が多くかかる
- 購入前に建物の状態を見極める必要がある
- リフォーム業者選びに失敗するとコストが膨らむ
C. 譲受+リフォームのメリット・デメリット
メリット
- 購入費がかからず、30年トータルで最安
- 住宅ローンなしなら利息負担もゼロ
- 浮いた分を教育費や貯蓄に回せる
デメリット
- 築年数が古いためリフォーム費が高額になりやすい
- 今後の修繕費も多く見込む必要がある
- 親族間の調整が必要(同居・二世帯の場合も)
シミュレーションで見えた「本当のコスト」
今回のシミュレーションで特に注目してほしいのは、「見えにくいコスト」の大きさです。
新築の場合、物件価格3,500万円に目が行きがちですが、
実際にはローン利息860万円+固定資産税400万円+修繕費600万円+火災保険150万円=約2,010万円が上乗せされます。
物件価格の約6割もの「見えないコスト」がかかっているのです。
一方で、中古や譲受のケースでは修繕費が新築より多くなりますが、
購入費とローン利息の差が圧倒的に大きいため、トータルでは大幅に安くなります。
我が家も「リフォームに1,365万円もかかった」と聞くと高く感じるかもしれませんが、
新築を買っていたら30年で約3,355万円多くかかっていた計算です。
その分を教育費や日々の暮らしに回せたことが、家計にとって大きな余裕になりました。
コストを抑えるために大切なこと
どのパターンを選ぶにしても、住宅費を抑えるために覚えておきたいポイントがあります。
- リフォームは必ず相見積もりを取る:我が家は相見積もりで約135万円の差が出ました
- 補助金・助成金を見逃さない:知っているかどうかで数十万円の差がつきます
- 住宅ローンの金利を比較する:金利0.5%の差で、30年間で数百万円変わります
- 修繕費を事前に見込んでおく:「まさか」の出費で家計が崩れないように準備しましょう
▶ 関連記事:相見積もりで費用を抑えるコツはこちら
まとめ|「新築が正解」とは限らない
30年トータルのシミュレーション結果をまとめます。
- 新築:約6,220万円
- 中古+リフォーム:約3,940万円(新築より約2,280万円安い)
- 譲受+リフォーム:約2,865万円(新築より約3,355万円安い)
もちろん、このシミュレーションはあくまで一例です。地域や物件の状態、金利の変動によって結果は変わります。
ただ、一つ確かなのは、「新築が当たり前」という前提を外すだけで、
住宅費の選択肢は大きく広がるということです。
我が家は新築を手放したことで、教育費に余裕が生まれ、日々の暮らしにもゆとりができました。
住宅費は人生で最も大きな買い物だからこそ、数字で比較して、
自分の家庭に合った選択をしてほしいと思います。
※本記事の金額はあくまでシミュレーションであり、
実際の費用は物件・地域・時期によって異なります。
住宅購入の際は、必ず個別の見積もりや専門家への相談をおすすめします。
よくある質問
新築と中古+リフォーム、30年トータルではどちらが安いですか?
立地や物件により異なりますが、中古+リフォームは新築の半額〜7割程度に収まるケースが多いです。特に借地権付き物件や親族からの譲受はさらに費用を抑えられます。
中古住宅のリフォームで住宅ローン減税は使えますか?
一定の要件を満たせば住宅ローン減税の対象になります。2025年以降は省エネ基準適合が条件となるケースもあるため、事前に税務署や不動産会社に確認しましょう。
譲受(親族から家を引き継ぐ)のデメリットはありますか?
築年数が古い場合はリフォーム費用がかかること、固定資産税や修繕積立の引き継ぎ、相続税・贈与税の発生などが考えられます。事前に費用全体を把握してから判断しましょう。

