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外壁塗装の見積もりを取ったら、思っていたより高かった。とくに「シーリング(コーキング)」の項目が、前に調べたときの相場より上がっている——。
2026年に入ってから、そんな声が増えています。理由のひとつが、シーリング材そのものの供給制限と価格改定です。
我が家も築古のRC造で外装工事を経験しましたが、当時いちばん困ったのは「この金額が妥当なのかどうか、判断する材料がない」ということでした。今は当時よりさらに、材料価格という外部要因が見積もりに乗ってきています。
この記事では、メーカーが公式に発表している内容をもとに、2026年8月時点でシーリング材に何が起きているのかを整理します。そのうえで、見積もりを見るときにどこを確認すればいいのかをまとめました。
結論:受注は再開しつつある。ただし価格は戻っていない
先に結論から書きます。2026年8月時点の状況は、大きく2つに分けて考えると分かりやすいです。
供給面は、回復の方向に動いています。 春先に受注停止まで踏み込んだメーカーが、6月には制限付きで受注を再開しています。
一方、価格面は戻っていません。 各社が発表した価格改定は、供給が回復したからといって取り消されるものではありません。
つまり「モノは手に入りやすくなったが、値段は上がったまま」というのが現在地です。見積もりが高く感じられるのは、この価格改定が反映されているためと考えられます。
2026年に何が起きたのか(時系列)
シーリング材大手のオート化学工業が公表している内容を追うと、動きがはっきり見えてきます。
2026年4月9日|全製品の供給制限
同社は、中東情勢の悪化にともなう原油・石油関連原料の供給網の混乱を理由に、全製品を対象とした供給制限を発表しました。制限の内容は、原則として2025年4月〜2026年3月の月間平均販売実績を上限とするというもので、解除時期は原料供給の回復が確認でき次第、案内するとしています。
(出典:オート化学工業「中東情勢の影響に伴う供給制限に関する重要なお知らせ(第一報)」2026年4月9日)
2026年4月15日|シーリング材の受注一時停止
供給制限からわずか6日後、同社はシーリング材製品(専用プライマーを含む)の受注を一時停止すると発表しました。想定を大きく上回る注文や問い合わせが集中し、適切な受注体制の維持が困難になったことが理由とされています。
(出典:オート化学工業「中東情勢の影響に伴う受注一時停止のお知らせ(第一報)」2026年4月14日付/新建ハウジング2026年4月17日報道)
供給制限を発表したことで、かえって「今のうちに確保しておこう」という駆け込み需要が起きた、という構図です。
2026年6月16日〜18日|制限付きで受注再開
同社は6月16日に「制限付き受注再開のお知らせ」、6月18日には「オートンサイディングシーラント『遅め』受注開始のお知らせ」を公表しています。品種を絞りながら、段階的に受注を戻している段階と読み取れます。
なお、2026年8月時点で確認できる範囲では、6月18日より後に受注制限・供給制限の状況を変更する新しい発表は出ていません。
(出典:オート化学工業 公式サイト お知らせ欄)
価格改定について
供給の問題と並行して、各社から価格改定が発表されています。
サンスター技研は、建築用シーリング材・接着剤・プライマー・トナー・副資材について、現行価格より30%以上の価格改定を発表しました。実施時期は2026年5月1日出荷分からとされています。
(出典:サンスター技研「建築用シーリング材・接着剤等の価格改定について」2026年4月6日)
シャープ化学工業も、製品全般を対象とした価格改定を発表しています。改定率は溶剤系製品が40%以上、その他製品が20%以上で、実施時期は溶剤系製品が2026年4月20日出荷分から、その他製品が2026年5月11日出荷分からとされています。
(出典:シャープ化学工業「製品価格改定に関するお願い」2026年4月16日)
いずれも特定の商品名を指定した改定ではなく、シーリング材を含む建築用材料を幅広く対象としたものです。外壁工事で使われる材料の多くが、この範囲に含まれることになります。
シーリング材が足りないと、どの工事が止まるのか
「シーリング材」と聞いても、住まいのどこに使われているのかピンとこない方も多いと思います。
シーリング材(コーキング材)は、建物の隙間を埋めて雨水の侵入を防ぐゴム状の充填材です。主に次のような場所に使われています。
- 外壁のサイディングボードとボードのあいだの目地
- 窓サッシと外壁の取り合い部分
- 外壁のひび割れ(クラック)の補修
- ベランダや屋上の立ち上がり部分
つまり、外壁塗装とセットで必ず出てくる材料です。塗装だけして目地を放置するということは基本的にありません。劣化した目地から雨水が入れば、塗り替えた意味が薄れてしまうためです。
RC造の場合も同様で、コンクリートのひび割れ補修やサッシまわりの止水にシーリングが使われます。我が家の外装工事でも、見積もりの内訳を見ると塗料代よりも下地補修・シーリング・防水の比率が高く、最初は戸惑いました。
関連記事:中古RC3階建ての外壁・防水を実際にやってわかったこと|木造マニュアルが通用しない理由とRC特有の判断ポイント
見積もりのシーリング費が高いとき、確認したいこと
材料価格が上がっている以上、見積もり額が以前の相場より高くなること自体は不自然ではありません。問題は、その内訳が説明できる形になっているかどうかです。
確認したいのは次の4点です。
① 「打ち替え」か「増し打ち」か
既存のシーリングを撤去して新しく充填し直すのが「打ち替え」、上から重ねるのが「増し打ち」です。当然、打ち替えのほうが手間も材料も多くかかります。同じ「シーリング工事」でも中身が違うので、どちらなのかが書かれていない見積もりは確認が必要です。
② メートル単価と施工延長が書かれているか
「シーリング工事 一式」とだけ書かれた見積もりは、比較のしようがありません。単価×数量の形で出してもらうよう頼むと、他社と並べたときに差がどこにあるか見えるようになります。
③ 使用する材料名が特定されているか
シーリング材には耐用年数の異なるグレードがあります。高耐久品は価格も上がりますが、次回の工事までの期間が延びるため、長い目で見れば選択肢になります。製品名が書かれていれば、メーカーの公表値で耐用年数を確認できます。
④ 値上がりの理由を説明してくれるか
ここがいちばん大切かもしれません。材料価格の高騰は、業者にとっても外部要因です。「最近材料が上がっていまして」と事情を説明してくれる業者と、理由を濁す業者では、信頼度が変わります。
我が家の場合|見積もりを比べて分かったこと
我が家は親族の家を住み継ぎ、築古のRC造3階建てに約10年住んでいます。外装工事の際に相見積もりを取ったところ、会社によって金額に大きな差が出ました。総額で135万円の開きがあり、内訳を並べて初めて、その差がどこから来ているのかが見えてきました。
このときはまだ、材料価格が今ほど動いていない時期でした。それでもこれだけの差が出たということは、材料価格が変動している今のほうが、業者による見積もりの幅はさらに広がりやすいと考えられます。
在庫を持っている業者と、これから調達する業者では、仕入れ値が違ってくるからです。1社だけの見積もりでは、その金額が「今の相場」なのか「その会社の事情」なのか判断できません。
関連記事:リフォーム見積もりを1社で決めた後悔|内装1,000万円を比較せずに契約した我が家と、135万円差が出た外壁の話
今、外壁工事を検討している人の判断ポイント
供給が戻りつつある一方で価格は高止まり、という状況をふまえると、判断の軸は次のように整理できます。
すでに劣化のサインが出ている場合は、待たないほうが無難です。 目地が切れている、サッシまわりに隙間がある、外壁にひび割れがある——こうした状態を放置すると、雨水が入って下地が傷み、結果的に工事範囲が広がります。材料費の数万円を惜しんで、下地補修の数十万円が増えては本末転倒です。
まだ劣化が進んでいない場合は、急ぐ理由は薄いです。 価格がいつ下がるかは誰にも分かりませんが、少なくとも「今すぐ契約しないと手に入らない」という状況は、春先に比べれば落ち着いています。焦って決める必要はありません。
どちらの場合も、複数社の見積もりを比べることは変わりません。 むしろ価格が動いている時期こそ、比較する意味が大きくなります。
関連記事:外壁塗装・防水工事はいつやるべき?劣化のサインと最適なタイミングを解説
よくある質問
Q. シーリング材の不足はもう解消したのですか?
2026年8月時点では、メーカーが制限付きで受注を再開している段階です。完全に元通りというより、品種を絞りながら段階的に戻している状況と考えられます。実際の納期は業者や地域によって異なるため、見積もり時に確認するのが確実です。
Q. 値上がりした分、待てば安くなりますか?
価格改定は原材料価格を反映したもので、供給が回復したからといって自動的に元に戻るものではありません。今後の見通しは公表されていないため、値下がりを前提に工事を先延ばしにするのはおすすめしません。
Q. 防水工事の材料不足とは別の話ですか?
原因は共通しています。どちらも石油化学原料の供給網の混乱が発端です。ただし製品も使う場所も異なるため、供給状況や回復のタイミングには差があります。防水材の状況については別記事にまとめています。
Q. 見積もりに「シーリング工事 一式」としか書かれていません。
内訳を出してもらうよう依頼して問題ありません。単価と数量が分かる形にしてもらうと、他社と比較できるようになります。快く応じてくれるかどうかも、業者を見るひとつの材料になります。
まとめ|価格が動く時期こそ、比べる意味がある
2026年のシーリング材をめぐる動きを整理すると、次のようになります。
- 4月に供給制限、続いて受注一時停止まで進んだ
- 6月には制限付きで受注が再開されている
- 一方で、各社の価格改定は据え置かれたまま
見積もりが以前より高く見えるのは、この価格改定が反映されているためと考えられます。業者が上乗せしているとは限りません。
大切なのは、その金額の内訳が説明できる形になっているか。そして、1社だけの数字で判断していないか。この2点です。
材料価格が動いている時期は、業者ごとの仕入れ条件の差が見積もりに出やすくなります。我が家が135万円の差を知ったのも、複数社に見てもらったからでした。
※本記事に記載した各社の発表内容は2026年8月時点の情報です。最新の受注・出荷状況は各メーカーの公式サイトをご確認ください。また、実際の工事費用は建物の状態や施工範囲により異なります。
外壁の見積もりを複数社から取り寄せるなら、一括見積もりサービスを使うと手間が少なく済みます。私自身が相見積もりで実感したのは、金額そのものより「内訳を並べて比べられること」の価値でした。
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